最近よく見かける「Web3.0」とは何?

2022年。
今まさに、インターネットが第3段階に移行する……ということで、2021年末辺りから一気に話題になって来たワードが「Web3.0(ウェブ・スリー。以下、Web3)」です。

このWeb3とは、一体どのようなものなのでしょうか。
今回は、このWeb3について取り上げたいと思います。

本格的に始まったWeb3.0

2021年の終盤辺りから、ネットメディアを始めとするさまざまなメディアでよく見かけるようになったWeb3という言葉。
さらに、Web3に関連して、「ブロックチェーン」「NFT」「メタバース」という言葉も、見かけない日はないくらいのバズワードとなっています。

2022年6月7日。
日本の内閣官房が発表した「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」でも、Web3に関連して、下記の点が示されていますので引用します。

  • (1) インターネットにおける新たな信頼の枠組みの構築
  • (2) ブロックチェーン技術を基盤とするNFT(非代替性トークン)の利用等のWeb3.0の推進に向けた環境整備
  • (3) メタバースも含めたコンテンツの利用拡大
  • (4) Fintechの推進

【参考】
新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画(pdf)
新しい資本主義実現本部/新しい資本主義実現会議(内閣官房)

このWeb3は、まだまだ発展途上ながらも、インターネット・Webの世界を一変させる、大革命かも知れないとも言われています。
もしかしたら、私たちは革命のスタート地点に立ち会えているのかも知れません。

このインターネット・Webの概念を一変させるWeb3。
暗号資産・イーサリアム創設者の一人、ギャビン・ウッド氏が2014年に投稿したブログ記事「Dapps: What Web 3.0 Looks Like」にて、

Web上のプロトコルや技術、さらにインターネットは再構築される必要がある

と、新しいWebの時代への移行を提唱したのが始まりだと言われています。

その後、2021年にアメリカの大手ベンチャーキャピタル、アンドリーセン・ホロウィッツ(a16z)が、「Web3の未来を築く世界のリーダーのための10の原則」と題した提言の中で、

世界各国政府は、国としてWeb3のイノベーションを導くべき

という主旨の提言をして、注目を浴びました。

そんなWeb3とは何なのか。
それを知るために、ここで一度、インターネットの歴史を振り返りたいと思います。

Web1.0から2段階の進化を経てWeb3.0へ

1995年。
パソコンの基本ソフトウェア(OS)「Windows95」が発売。
全国のパソコンショップには、Windows95を求める長蛇の列ができました。
注目されたのは、ネットワークの接続機能。
一般の人でも、比較的簡単にインターネットにつながれるようになりました。

とはいえ、この時代のインターネットの通信技術は現代と比べてかなりの発展途上。
電話回線を使ってパソコンとインターネットを接続していたため、ファックスを送信するような通信音を聞きながらのインターネット接続でした。
パソコンの起動から回線がつながるまで、4分以上かかることも。

この時代、自らホームページを作り、インターネットを通じて情報発信するのは、一部の企業や技術のある学生などに限られていました。

そんな一部の皆さまは、Yahoo!が運営するWebサイト作成サービス「ジオシティーズ」などを利用してホームページを作り、

  • アクセスカウンターを配置して、キリ番を作ったり、
  • 素材屋からダウンロードした素材で壁紙を作ったり、
  • BBSで交流したり、

なんて楽しみ方をしていましたね。

しかしほとんどの人は、電話回線の料金が安くなる深夜の時間になると、Yahoo!などの検索サイトを使って、ただ情報を見るだけ。
「ネットサーフィン」という言葉が生まれたのもこの頃でした。

以上のように、

「インターネットの情報を見るだけ」

が主流だった時代がWeb1.0とされています。

そんな状況が劇的に変わっていったのが2000年代半ばごろ。
きっかけは、ADSLや光回線が登場したことで、通信速度が一気に高速化したこと。

使う時だけ接続するものだったインターネットが、常時接続の時代に入りました。

前後してブログやSNSのサービスが始まり、誰もが情報を発信しやすくなり、ブログやSNSを通じてコミュニティーを作り、交流するようになりました。

SNSではmixiやGREEなどが、隆盛を極めましたよね。

そして2008年。
アップルが革新的な携帯情報端末・iPhone3Gを発表。

スマートフォン(以下、スマホ)の登場で、個人の情報発信はより簡単に。
さまざまなSNSや動画投稿サイトが登場し、大きな広がりを見せます。

Web2.0では、双方向のやり取りが当たり前の時代に進化しました。

みんながデータを送り合うことでインターネットでの情報量は爆発的に増加。

Web1.0だった時代の2000年には6.2エクサバイトだった国際的なデジタルデータの量が、Web2.0の時代の2020年には40ゼタバイトに。
20年で実に、約6500倍に増えたといわれています。

【参考】
ICTがもたらす世界規模でのパラダイムシフト(総務省 平成26年版 情報通信白書)

この、

「誰もがインターネットに常時接続し、情報発信と共有をする時代」

が、現在まで続くWeb2.0とされています。

こうした中で、大きな問題になって来たことが。
それは、個人データが一部のプラットフォーム企業に集中するようになってきたという点。

  • Google
  • Apple
  • Facebook
  • Amazon
  • Microsoft

頭文字を取って「GAFAM」と呼ばれる大企業が検索エンジンやSNS、ネットショッピング、アプリストアなどの市場で、データと価値を「支配」する時代が始まってしまいました。

誰もが情報発信できるようにするために、必要不可欠な存在。
それがプラットフォーム企業です。

ところが、先ほど挙げた「GAFAM」と呼ばれる大企業にデータが集中することによって、インターネットは双方向の世界のはずなのに、「GAFAM」なしでは成り立たなくなりつつあります。
ある意味、「中央集権的」な世界が出来上がってしまったのが、Web2.0だと指摘する専門家もいます。

そもそも「GAFAM」は、誰もが自由に発信できる世界を実現したい……と尽力してきた企業のはずですが、競争を勝ち抜き続けた結果、時価総額が国家予算レベルの規模の企業に成長し、現在では、独占状態を産み出すようになってしまいました。

数年前、とある国の選挙で、とあるSNSが、片方の陣営が発信した情報だけを削除する……なんてことが起こりましたよね。
これはまさに、インターネットは双方向の世界のはずなのに、プラットフォーム企業がインターネットを「中央集権的」な世界に変貌させてしまったことを、象徴する出来事でした。

こうした、

一部のプラットフォーム企業によるデータの寡占状態を打ち破ろうと生まれた、新たな概念。

それがWeb3です。

新たなテクノロジーであるべき姿に

そもそもインターネットは、リンクが一つあれば別の情報につな蛾とることができるいう特徴があります。
また、誰もが情報発信できることで、対等にフラットにつながることができるという特徴もあります。
いいものやいい情報を見かけた時にシェアをすれば、どんどん世界に拡散されていきます。

この、

  • リンク(つながり)
  • フラット(対等)
  • シェア(共有)

こそがインターネットの特徴で、

  • 誰もが参加できる
  • 誰もが情報を共有できる

という意味でインターネットは素晴らしく、インターネットが「非中央集権的」だったわけですが、いつの間にか、「中央」にデータと価値が集まる仕組みになってしまいました。

Web2.0において、プラットフォーム企業の管理によって行き過ぎてしまった中央集権化。
それを、インターネットの原点である非中央集権の状態にしていこうというWeb3。

しかし、Web3はどのようにして実現するのでしょうか。

その旗手として注目されているのが

「ブロックチェーン」

という技術です。

ブロックチェーンとは、ネットワークの中で発生したすべての取引を記録する台帳のようなものと言われています。

その特徴は、すべての取引履歴をいつでも誰でも検証できる仕組み。
参加者が相互に監視することで、特定の管理者がいなくても、取引の信頼性を担保することができます。

さらに過去から現在までの取引データを、要約を含んでブロックに記憶。
それが一本の鎖のようにデータが直前のブロックとつながっているため、途中からデータ内容に手を加えるような、いわゆるデータの「改ざん」が難しいと言われています。

そのためブロックチェーンは、これまでのようにプラットフォーム企業に頼ることなく、インターネットを以前のように非中央集権化に導ける可能性がある、革新的な技術として注目されています。

これまで企業が力を持って担保していた信頼を、Web3では、ブロックチェーンの技術で、世界中のみんなの力で、非中央集権的なインターネットをかなえよう……という動きと言ってよいでしょう。

Web2.0の世界では、基本的にプラットフォーム企業に巨大なサーバーがあり、そこにデータを集約していくという形が一般的。
プラットフォーム企業がサーバーを持っているからこそ、そこに集約されたデータを使って、企業はさまざまなサービスなどを実現してきました。

一方、ブロックチェーンは、ユーザーの一人一人が使っているパソコンを用いて計算をする技術。
なので、一か所のサーバーにデータが集約しません。

このようなブロックチェーンという技術の特性を活かせば、一部のプラットフォーム企業が支配するような、中央集権的なインターネットから脱却できるのではないかと、期待されているのです。

Web3で起きているイノベーション

このように、非中央集権的なインターネットを目指しているWeb3ですが、すでにWeb3の世界では、さまざまなイノベーションが始まっています。

  • ビットコインやイーサリアムなどといった「暗号資産」
  • 銀行などの仲介業者不要の金融システム「DeFi(ディーファイ)」
  • デジタルデータが唯一無二だと証明できるテクノロジー「NFT」

なども、Web3のムーヴメントに後押しされて、進化・発展していくと言われています。

ただ、Web3と呼ばれる範疇は、現時点ではとても幅広く、また、例えば一言で暗号資産といっても、ビットコインとイーサリウムではまったく違うもの……と指摘する専門家もいます。

また、Web3を取り扱う人によって、Web3という概念そのものがまだ固定されておらず、揺らぎを見せているというのが、現時点でのWeb3の状況です。

そんな流動的な状況ではありますが、中央に寄っていたデータや情報が分散した時に、多くのビジネスチャンスが産まれることは、容易に想像ができます。

そのチャンスをどうつかむのか、どうコントロールしていくのか。
その突破口となるのがブロックチェーンだと言う専門家もいます。

現在では、NFTを活用して「『応援している人である権利』に価値をつけるデジタルデータ」を販売しているプロスポーツクラブが登場しています。

NFTマーケットプレイスでNFTアートというデジタルデータ作品を発表し、デジタルアートを取引するアーティストも増えつつあります。

  • コンテンツに対して所有権が持てる。
  • 自分のデータを検証することが可能。

Web3の時代になると、上記のようなWeb3の特徴を活用して、プラットフォーム企業や仲介業者がいなくても、人から人へダイレクトに価値を送ることができる時代になります。

そのような時代を迎えた時に、人と人の関わり方や仕事の仕方は、どのように変わっていくのでしょうか。

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