外部ライターに丸投げはNG 成果を出す役割設計

外部ライターに記事を頼んだ。納品された原稿を読んだ。
「……間違ってはいないけど、うちの会社が言いたいことと違う」

こんな経験、ありませんか?

記事の本数を増やしたい。でも社内の手は足りない。
だからライターに頼む。ここまでは正しい判断です。

問題はその先です。
「テーマはこれで、あとはお任せします」
──この一言が、記事を殺します。

本数は増える。でも問い合わせは増えない。
読み返すと、どこかで読んだような話ばかり並んでいる。
ライターを変えても、同じことが起きる。

なぜか。

ライターの腕が悪いのではありません。
仕事の渡し方がまずいのです。

もっと正確に言うと、何を社内で決めて、何をライターに書いてもらうか。
この線引きができていないまま頼んでいるのが原因です。

しかも面倒なことに、記事の種類によって「任せていい範囲」がまるで違います。

ノウハウ記事は、丸投げした瞬間に中身がスカスカになる。
取材記事やインタビュー記事は、ライターに渡したほうがむしろ良くなる。

同じ「記事を書いてもらう」なのに、なぜこんな差が出るのか。
今回はこれを、一つずつ分解していきます。

外部ライターとの仕事で差がつくのは「書く腕」ではなく「頼み方」

一つ、たとえ話をします。

ラーメン屋が忙しくなって、仕込みを手伝ってくれる人を雇ったとします。

「チャーシューを切ってほしい」「麺を茹でる準備をしてほしい」なら、伝えればできます。でも「今日のスープの味、なんかいい感じに決めといて」と言ったらどうなるか。

その店の味にはなりません。

外部ライターへの依頼も、まったく同じです。

社内は「そこまで説明しなくてもわかるだろう」と思っている。
ライターは「もらった情報でまとめるしかない」と思っている。
このズレが、薄っぺらな記事を生みます。

できあがった原稿は、嘘は書いていない。日本語もおかしくない。
でも読んだお客さんが「この会社に相談してみよう」とはならない。
そういう記事です。

なぜこうなるのか。
記事を作るには「書く」前に決めることが山ほどあるからです。

  • 誰に読んでほしいのか。
  • その人は、今どんなことで手が止まっているのか。
  • 自分たちは、その人に何を伝えたいのか。
  • 同業他社の記事と、どこで違いを出すのか。

これは文章の技術ではありません。
自分たちの商売を知っている人にしか答えが出せない問いです。

あなたの会社の商売をいちばんわかっているのは、誰ですか?
毎月数本の記事を書くライターですか?
それとも、毎日お客さんと話している社内の人間ですか?

答えは明らかです。

なのに、その「商売をわかっている人にしか出せない答え」ごと、ライターに渡してしまう会社が本当に多い。

もう少し具体的に解説します。

ホームページ制作会社が「うちのサイト、そろそろ作り直したい」と思っている会社向けに記事を書くとします。

社内の営業なら知っています。

相談してくる会社の本音は、「デザインが古い」ではなく、「スマホで見ると文字が小さくて読めない」とか「お知らせを更新するたびに制作会社に連絡しないといけなくて面倒」とか「去年から問い合わせフォームの送信数が減っている気がする」とか、そういうものだと。

この「気がする」まで含めた生々しい話こそ、記事の核になる情報です。
ライターには、言われなければ絶対に見えません。

ここまで読んで、「じゃあ全部自分たちでやるしかないのか」と思った方。
逆です。全部やろうとするから、更新が止まるのです。

必要なのは、どこで線を引くかを決めること。

  • テーマを決める、
  • 読んでほしい人を決める、
  • 「ここだけは伝えたい」を決める

──ここまでは社内がやる。

  • 原稿を書く、
  • 見出しの順番を整える、
  • 読みやすくする

──ここはライターに渡す。

ラーメン屋なら、スープの味は店主が決める。仕込みの手は借りる。
この順番を守れば、味はブレません。

あなたの会社では今、スープの味まで外に投げていませんか?

ノウハウ記事は丸投げしない|いちばん手を抜いてはいけない記事

ここまでの話を踏まえて、最も危ない落とし穴を一つ指摘します。
ノウハウ記事の丸投げです。

なぜノウハウ記事だけ、特別に危ないのか。
本屋で想像してみてください。

「SEOライティングのコツ」という本が、棚に20冊並んでいるとします。
目次を見比べると、どれも似たようなことが書いてある。

  • キーワードの選び方、
  • 見出しの付け方、
  • 文章の長さ

──だいたい同じです。

その中で1冊だけ手に取ってもらうには、何が必要か。
「この著者にしか書けない一行」です。

その一行は、ネット検索では見つかりません。
あなたの会社の現場にしかないものです。

たとえば、SEOライティングの記事を書くとして。
「タイトルにキーワードを入れましょう」なんて、100本の記事に書いてあります。

でも、「キーワードを入れたのに順位が上がらなかった。原因を調べたら、検索している人が知りたいことと記事の中身がずれていた。具体的にはこういうケースだった」

これは、やったことがある人にしか書けません。

お客さんが読みたいのは、教科書ではなく、現場の話です。
実際にやってみてどこで詰まったか。よくある失敗は何か。
どういう条件ならうまくいって、どういう条件だと空振りするのか。

ここまで踏み込んで書かれた記事だけが、「この会社、わかってるな」と思ってもらえます。

さて、あなたの会社のノウハウ記事を一本、開いてみてください。

そこに書かれているのは、「御社だから書けた話」ですか。それとも「検索すれば誰でも拾える話」ですか。

もし後者なら、ライターの腕のせいではありません。
記事の材料として、社内の「現場で見た話」が渡されていない。それだけです。

「頼んだのに中身が薄い」
「SEOを意識して書いてもらったのに、どこかで見た記事になった」

この不満の裏には、ほぼ毎回、同じ原因があります。

ライターに渡したのが「テーマ名」だけで、「うちの会社ならではの中身」が何も添えられていなかったということです。

じゃあ何を渡せばいいのか。
難しいことは要りません。この3つだけで十分です。

  • お客さんがよく口にする困りごと(できればそのままの言葉で)
  • 現場で何度も見かける失敗や思い込み
  • 「うちはこう考えてやっている」という判断の基準

この3つが加わるだけで、同じライターが書いても記事はまるで変わります。

ライターの仕事は、その材料を「読む人が知りたい順番」に並べ替えて、検索で見つかる形に仕上げること。

いい食材を渡せば、料理はうまくいく。それだけの話です。

食材を渡さず「テーマだけ決めたんで、あとよろしく」は、冷蔵庫が空のキッチンで「なんか作って」と頼んでいるのと同じです。

腕のいいライターほど、その無理をわかっています。

取材記事・インタビュー記事はライターと組みやすい|社内で抱えなくていい仕事がある

ここまで読むと「何を頼んでも結局うまくいかないのか」と暗い気持ちになるかもしれません。

そんなことはありません。
ライターの力が社内より活きる仕事があります。

取材記事とインタビュー記事です。

ノウハウ記事との違いは何か。
もう一度、さっきの料理のたとえで考えます。

ノウハウ記事は、社内の人の頭の中にあるレシピを文字にする仕事です。
レシピを知らない人には書けません。だから丸投げが危ない。

取材記事は違います。
食材はすでに目の前にあります。

取材で相手が話してくれた言葉、出来事、数字——それが食材です。
ライターの仕事は、その食材をいちばんうまく見える順番に皿に盛ること。

だから、ライターの「並べ替える力」「読みやすくする力」がそのまま武器になります。

たとえば、自社のサービスを使ったお客さんの事例記事。
聞くことはだいたい決まっています。

  • 何に困っていたのか。
  • なぜうちを選んだのか。
  • 使ってみて何が変わったのか。

この3つを押さえれば、記事の骨組みはもうできています。

インタビュー記事でも同じです。

話す人は、時系列どおりに話してくれるとは限りません。話が飛ぶ。大事なことがぽろっと出て、すぐ別の話に移る。

そのバラバラの素材を、読む人が「なるほど」と思う順番に組み直す——これはライターがいちばん得意な仕事です。

ただし、一つだけ。
取材記事でも、企画と取材の段取りだけは社内が握ってください。

なぜか。

「この話をもっと掘ったほうがいい」
「ここは聞かなくていい」

の判断は、自分たちの商売をわかっている人にしかできないからです。

同じ相手に話を聞いても、聞く角度が違えばまったく別の記事になります。
その角度を決めるのは、ライターではなく、あなたの会社の人間の仕事です。

まとめると、取材系の記事でいちばんうまくいく形はこうなります。

企画と「何を聞くか」は社内が決める。取材にも社内の人が同席する。原稿を書いて読みやすく整えるのはライターがやる。

この分け方なら、社内がやることは最小限で済むのに、記事の中身は薄くなりにくい。

ここで振り返ってみてください。
あなたの会社では、取材系の記事まで全部社内で書いてませんか?

もしそうなら、ライターに渡すだけで更新のペースが一気に変わるかもしれません。
抱え込んでいるものの中に、「実は手放せる仕事」が眠っています。

まとめ

外部ライターと組むときに問うべきことは一つです。
「外注するか、しないか」ではありません。

「どの記事のどの工程を社内で決めて、どこからライターに渡すか」。
ここだけです。

ノウハウ記事は、社内の現場で見聞きした話が入らなければ、どこにでもある記事にしかなりません。

  • お客さんの生の声、
  • よくある失敗、
  • 自分たちの判断基準。

これを渡さずに「あとはお願い」とするのが、いちばんまずい頼み方です。

取材記事やインタビュー記事は、聞いた話という食材がすでにあるぶん、ライターの「並べ替える力」「読みやすくする力」が直接効きます。

企画と段取りは社内、書くのはライター。
この分け方なら無理なく続きます。

うまくいっている会社は、ライターを「便利な外注先」としては使っていません。
自分たちが決めるべきことを決めたうえで、ライターの得意な仕事を渡しているんです。

「頼んでいるのに記事が弱い」なら、渡す材料を見直す。
「社内で抱えすぎて更新が止まっている」なら、手放せる仕事を選んで渡す。

どちらも、書く人を替える話ではありません。
頼み方を変える話です。

【参考文献】デジタルマーケの成果を最大化するWebライティング(日本実業出版社)

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