ブログ記事を社員に書いてもらう3つの仕組み

「社員にブログを書いてもらいたい」

この一言から始まった取り組みが、3ヶ月後には誰も話題にしなくなっている。よくある話です。

声をかけた。お願いした。最初の1本は出てきた。
でも、2本目が出ない。3本目はもう期待すらしていない。

外部ライターに頼めば、本数は増やせます。

ただ、現場で実際に起きたこと、お客様との生のやりとり、自社だからこそ語れる話。これは社内の人間にしか書けません。だから「社員にも書いてほしい」と考える。ここまでは正しい。

問題は、その次です。多くの会社がここで、社員のやる気に原因を求めます。

でも実は、社員が書かないのはやる気の問題ではありません。書く前に、会社側の仕組みが足りていないだけです。

この記事では、社員ブログを無理なく回すために編集部が整えるべきことを、3つに分解します。読み終えたとき、「うちはどこが欠けていたのか」が、自然と見えてくるはずです。

社員ブログをオウンドメディアで続けるには、まず社内制度を先に決める

社員に記事を書いてもらうとき、最初に必要なものがあります。
熱意ではありません。「書くことは業務である」という制度上の決定です。

想像してみてください。

もし会議の出席が「任意」だったら、何が起こるか。出る人は出る。出ない人は出ない。資料の提出期限が曖昧なら、遅れる人が必ず出てくる。

記事執筆も、まったく同じ構造です。

社員には日々の仕事があります。営業なら顧客対応、制作なら納期。その中で「時間ができたら書こう」は、いつまで経ってもその時間が来ないことを意味します。

「書いてくれたらうれしい」は、「書かなくても問題ない」と同義です。
だから、ルールにする。ただし、現場の担当者がルールを決めただけでは弱い。

ここには、経営の意思が要ります。
「うちの会社は、社員が知見を外に出すことを仕事として扱う」。

この方針を、経営側が明確に示すかどうか。ここが曖昧なままだと、現場は本気だと受け取りません。

あなたの会社では、記事を書くことが「善意の協力」のまま放置されていないでしょうか。

さらに一歩踏み込むなら、評価制度との接続が鍵です。

人は、「やったほうがいいこと」より「やらないと自分に返ってくること」を優先します。提出本数や記事の質が評価に組み込まれていれば、書くことの優先順位は自然と上がります。

もちろん、制度を作っただけでは終わりません。

締切を設定する。提出状況を見える化する。未提出者には声をかける。ここまで含めて、はじめて制度は回ります。制度だけ立派で、運用が空っぽ。これがいちばん危ない。

社員ブログを続けたいなら、いい書き手を探す前にやることがあります。
書くことが、気合いではなく仕組みで動く状態を作ること。すべてはここから始まります。

編集部運営で差がつくのは、モチベーション向上とナレッジ共有の設計

制度を整えた。ルールも決めた。
それだけで、人は気持ちよく書けるでしょうか。

書けません。

制度は「書かなければならない理由」を作ります。でも、「書きたい理由」は作れません。
ここを埋めるのが、編集部の仕事です。

鍵になるのは、社員本人にとっての意味を見せること。会社のためだけではなく、書いた本人に何が返ってくるかです。

一つは、自分の仕事が整理されること。

普段なんとなく回している業務でも、文章にしようとした瞬間、「自分はどう判断していたのか」「なぜこの手順なのか」を言語化せざるを得なくなる。これは、ただ働いているだけでは起きません。

ナレッジ共有でありながら、同時に本人の思考が研ぎ澄まされる。書くことは、外に出す行為であると同時に、内側を掘る行為です。

もう一つは、社内外からの信頼が変わること。

たとえば、ホームページ制作会社の担当者が「スマホで見づらいサイトは問い合わせを逃しやすい」と記事で発信していたとします。その人はもう、ただの担当者ではありません。「このテーマをわかっている人」になる。

営業にも採用にも、じわじわと効いてきます。

ただし、ここに落とし穴があります。

「1本書いたらいくら」という金銭インセンティブを前面に出しすぎると、質が崩れることがある。お金で動く人は確かにいます。でも、「とりあえず埋めた記事」が量産される状態は、オウンドメディアとして弱い。

あなたが本当に欲しいのは、本数でしょうか?
それとも、読まれて信頼につながる記事でしょうか?

だから編集部がやるべきは、報酬設計よりも先に、小さな成功体験を本人に返すことです。

「この記事、公開初日に200回読まれました」
「この記事経由で問い合わせが来ました」
「営業から、商談で使いやすいと声が上がってます」

こうした反応を、書いた本人にちゃんと届ける。たったこれだけのことが、次の1本を生みます。

文章を書くこと自体が好きだから続く人は、ごく少数です。
大半の人は、自分が書いたものが誰かに届いた実感があるから、もう一度書こうと思える。

モチベーション向上は精神論ではありません。

書いたあとに何が返ってくるかを、編集部が設計するかどうか。ここで、「仕方なく書くもの」と「書く意味があるもの」の境界線が引かれます。

SEOライティングとライティング教育は、編集部が先頭でやるから回り出す

制度を整えた。意味づけも設計した。
最後に残る問いは、「で、どうやって書けるようにするのか」です。

ここで多くの会社が見落としていることがあります。

「社員に書いてほしい」と言っている編集部自身が、あまり書いていない。

これでは動きません。現場から見れば、「言うだけなら簡単だよね」で終わります。

社員に記事を書いてもらいたいなら、まず編集部が社内でいちばん書く。この順番を間違えると、すべてが空回りします。

自分たちが書いているからこそ、どこで手が止まるか、何が難しいかがわかる。そして何より、「自分たちもやっている」という事実が、社内に向けたいちばん強いメッセージになります。

あなたの会社の編集部は、お願いする側だけになっていないでしょうか。

そのうえで、社員にいきなり高度なSEOライティングを求めすぎないこと。

検索意図の分析、見出し設計、構成の最適化。これらを最初から完璧にやれる社員はいません。ライティング教育には、段階が必要です。

最初に教えるのは、たった3つでいい。

  • 誰に向けて書くのか
  • 何をいちばん伝えたいのか
  • 読んだ人にどう動いてほしいのか

次に、

  • タイトルで何を約束するか
  • 見出しの順番をどう組むか
  • 一文を長くしすぎない

という基本を伝える。

検索キーワードの配置や具体例の出し方は、そのあとです。この順番を守れば、書くことに慣れていない人でもつまずきにくくなります。

そして、フィードバックの渡し方が、すべてを左右します。

まだ書き慣れていない人の原稿に、赤字をびっしり入れて返す。これをやると、「もう二度と書きたくない」で終わります。一発で完璧を求めるフィードバックは、次の1本を殺します。

「ここはよかった」
「ここを直せば、もっと伝わる」

直すべき点を全部ぶつけるのではなく、前に進める言い方に変える。編集部の仕事は、原稿をきれいに仕上げることだけではありません。社員が「また書ける」と思える状態を残すことです。

SEOライティングの型は、正しく教えれば誰でも一定の水準には届きます。

でも、その型が社内に広がるかどうかは、放っておいて定まるものではない。編集部が見本を見せ、教え、直し、成功体験まで返す。この流れが回ってはじめて、ライティング教育は機能します。

まとめ

社員にブログを書いてもらうために必要なのは、「もっと協力してほしい」という呼びかけではありません。

書ける環境を、会社の側が先に用意することです。

やるべきことは3つ。

1. 制度を決める。「書くことは業務である」と定め、評価にもつなげる。
2. 意味を返す。書いた社員本人に、成果と反応を届ける仕組みを作る。
3. 編集部が先頭に立つ。自ら書き、教え、フィードバックし、成功体験まで設計する。

この3つが揃ってはじめて、社員ブログは続きます。

逆に、どれか一つでも欠けた状態で「いい記事を書いてほしい」と願っても、かなり厳しい。それは社員の能力の問題ではなく、運用設計の問題です。

オウンドメディアは、記事を並べるだけでは育ちません。

社内の知見が流れ込み、読み手に届き、その価値がまた社内に返ってくる。この循環ができてはじめて、強くなります。

あなたの会社で、今いちばん先に見直すべきはどこか。
制度か。運用か。編集部の立ち位置か。

一つでいい。今日のうちに、変えられるところから手を入れてみてください。

【参考文献】デジタルマーケの成果を最大化するWebライティング(日本実業出版社)

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